ムーズ川のトカゲ

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5/1 19:05

保安官はクーパーの災難について、ほんの申し訳程度に遺憾の意を示しただけで、それからヒューゴを相手に町の財政問題について長々と語りだした。何しろ、彼のいとこである町長は一銭たりとも出せそうにない有様であり、この調子で事が進めば、クーパーが過去の分の帳簿まで引っ張り出してきて町議会に賠償を求めかねない。そうなれば賠償額は何倍にも膨れ上がるだろう。しかも保護区が原因でクーパー農場への賠償が常態化するようなことになれば、現町長だけでなく、次期町長――つまりこの目の前に座ることが内定している保安官自身も、彼の任期中の財政に多大な、実に多大な影響を受けることになるのだった。

「それで、町長――いや失礼、保安官閣下は、私にどうしろとお考えで?」

「いつもの手だ。とにかく、クーパーをなだめ続けろ」保安官はひどく困り果てた様子で言った。「皮肉はよせ。片付けなきゃいけないことがまだ足りないとでも言うのか?」

「はいはい、コーヒーを飲んで、新聞を読んで、車の修理にかこつけて隣町に女を訪ねるのが仕事だって言うなら、確かにお忙しいことだ」だがこの言葉は、ヒューゴの胸の内に留めたままだった。

ガチャリ。警察署の事務室のドアが開いた。中年の女性だった。ヒューゴは一目で誰か分かった――保護区にほど近いところに住む、ブラウン夫人だった。

「こんばんは、ええと、奥さん。受付時間はもう過ぎておりますが、何かお困りですか?」保安官は話をそらし、ブラウン夫人にへつらうように言った。ヒューゴは軽蔑の笑みを浮かべた。次期町長ともあろう者が、住民の名前ひとつ呼べないとは――この小さな町にどれほど無関心かがよく分かるというものだ。

「保安官、この方はブラウンさんです」ヒューゴはわざとらしく咳払いをした。「保護区の近くにお住まいの」

「ありがとう、ヒューゴ巡査、教えてくれて助かる。ブラウンさん、こんな遅くにどうされました?」

「ブラウンさん、何があったんです?旦那さんは?お一人で?」

「保安官、ヒューゴさん、主人は今、川辺にいます。息子のジョーイが、昨日学校が終わってから帰ってこないんです。主人と、隣に住むルイさんの息子さんと娘さんとで、一日中川辺を探したんですが、影も形も見つからなくて……」

ヒューゴと保安官は顔を見合わせた。二人の頭に浮かんだのは、砂州でだらしなく日向ぼっこをしているあの斑紋ワニの群れだった。長くてもせいぜい三、四メートルのワニが、一週間で牛三頭と中学生一人を平らげるものだろうか。大勢が徒党を組めばあり得なくもないが、最近の天気を見る限り干ばつの季節でもない。そこまで食料に困っているとは思えなかった。

「ブラウンさん、ここまでどうやって?お宅は車が一台しかなかったはずですが」ヒューゴは上着を羽織った。

「ルイさんの息子のケビンが、酔っ払ったお父さんを迎えに町まで来るというので、その車に乗せてもらって、ついでに届け出をと思って……人手が多ければ、見つけやすくなるんじゃないかって……」ブラウン夫人の顔は青ざめていた。何か不吉な想像が頭をよぎっているようだった。

「保安官、パトカーでブラウンさんを送りながら、川沿いを少し見てきてもいいですか?」

「構わんとも」

「では、届け出の手続きはあなたにお願いしていいですね?」

保安官は一瞬たじろいだ。「そんな些細なことは、戻ってから書けばいい。明日でも間に合う。さあ早く行け行け」

ヒューゴは車の鍵を手に取り、警察署を出ていった。

「この古狸め、届け出の書類ひとつ書くのも面倒くさがりやがって」ヒューゴは運転席に座り、ブラウン夫人が乗り込んでくる前に、そう毒づいた。