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ヒューゴはエンジンの調子が悪い古びたパトカーを走らせ、けだるい足取りでクーパーの農場にやってきた。農家の外で彼を待っていたのは、怒り心頭といった顔つきの農場主、クーパーだった。
ヒューゴは車を門先の木陰に停め、エンジンを切ってから、ゆっくりと車を降りた。眠気がまだ完全には抜けきっていないのを、しみじみと感じていた。
「おはよう、何があった?」
「保安官、またです」クーパーは歯を食いしばりながら言った。
「まさか、また牛か?」クーパーのその一言に、ヒューゴの眠気は一瞬で吹き飛んだ。この件はもう厄介な段階に入っていた。
「くそったれが、この一週間で三頭目だ。しかも今回は種付け用に残しておいた唯一の雄牛なんだぞ」クーパーは拳を握りしめた。「あの忌々しい爬虫類が保護動物かどうかなんて、もうどうでもいい。うちの農場に足を踏み入れやがったら、この銃で撃ち殺してやる!」彼は拳を振り上げ、玄関先の柱に思い切り叩きつけた。「くそが!」
「おい、落ち着け」
「落ち着け?あの忌々しい爬虫類どものせいで、うちがどれだけ損してきたか分かるか?親父の代から、いや爺さんの代から、あの臭え畜生どもにどれだけ苦しめられてきたか、お前に分かるか?落ち着けだと?どうやって落ち着けって言うんだ?」
「分かった分かった、まず落ち着いてくれ。安心しろ、今回はちゃんと被害届を受理する。保安官に報告して、町議会と話をつけてもらう。お前の損害をどう埋め合わせるか、調整してもらうから」
「分かってないな、俺は損害の埋め合わせなんて要らねえんだ。上流にあるあのムーズ川の忌々しいワニの保護区を、廃止させたいんだ。爺さんがそうしたみたいに、弾薬箱とでかい銃を持って、あの招かれざる客どもを皆殺しにしてやりたいんだよ!」
「おい、頼むからやめてくれ。俺たちは長い付き合いだろう。そんなことをしたらどうなるか、お前だって分かってるはずだ」
クーパーはしばし黙り込んだ。「ムーズタウンは俺にこの金を必ず賠償するべきだ。賠償しないってんなら、農場を隣のデイドタウンに移してやる!そうなったら見物だ、この俺の農場なしで、こんなクソみたいな町が観光だけで来年までもつかどうか、じっくり見せてもらおうじゃないか!」
「分かった、分かったから。報告書はできるだけ深刻に書いておく。だからそんなに怒らないでくれ、な?」
クーパーは一言も返さず、こわばった顔つきのまま、ひどく不機嫌そうに、何かを押し殺しているようだった。
「頼むから、とりあえず農場の川沿いに柵か何かを作ってくれ。牛が近寄らないようにすれば、お前の損害も減るだろう、な?」
「ふん」クーパーはヒューゴを睨みつけ、ひどく不承不承といった様子で一言だけ返した。
ヒューゴは踵を返して車に戻り、エンジンをかけ、バックさせて農場を出ようとした。だが、やはり気になったのか、車をクーパーの前まで進め、窓を下ろした。「馬鹿な真似はするなよ。何かあったら、まず俺に電話しろ、いいな?」
クーパーはカウボーイハットを目深にかぶり直した。「連中が賠償を払い終えたら、真剣に考えてやるよ」
ヒューゴは微かに笑い、車を走らせてクーパーの農場を後にした。農場を出てしばらく道なりに進むと、ムーズ川の堤防沿いの道路に出て、そのまま町の中心にある警察署へと戻っていった。