生き埋めにされた種子

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古晴の日記・上

古晴が鉄城四中に転校したのは昨年の秋だった。彼女は生前、一冊の日記を書いていた。常迪に渡そうとしていた日記帳。常迪が一枚ずつ燃やした日記帳。最後の数ページを残して。

回囡が読んだのは最後のページだった。しかし古晴の日記は最後のページだけではない。全ての始まりを知るには、最初のページから読まなければならない。

九月一日

新しい学校。まだ何も知らない。

鉄城四中は思ったより大きかった。グラウンドも広く、教学棟は三棟あった。転校してきた最初の日、担任の張遥先生がクラスに紹介してくれた。「古晴さんは転校生です。みなさん、よろしくお願いします」それだけだった。自己紹介をする時間も与えてもらえなかった。

壁際の二番目の席に案内された。前の席は誰かが使った跡がまだ残っていた。机の角に誰かが彫り込んだ落書きがあった。「ここは地獄の入口だ」

初日なので鵜呑みにしなかった。

九月三日

国語の先生は馬大花という。太っていて、いつも声が大きい。今日、同じクラスの男子が発言した内容が教科書と少し違うことを言ったら、馬大花先生はそいつを教壇の前に立たせて「お前の言うことは間違いだ」と皆の前で言いつけた。その男子は真っ赤になって黙った。放課後に聞いたら、その男子の言ったことは実は正しかったそうだ。ただ教科書の答えと少し違っていただけで。

先生が「正解」と呼ぶものは、「教科書の答え」のことだと知った。

九月五日

化学の先生は王秦という。実験の授業だった。後ろの方に座っているから全然見えなかった。席を立って前に見に行ったら、王秦先生は私を睨んで「席に戻れ」と言った。「見えないんです」と言ったら「お前の席はそこだろう、文句があるなら転校しろ」と言われた。

この学校の先生は怒ると「転校しろ」と言う習慣があるらしい。でも私はちょうど転校してきたばかりなので、また転校するのはさすがに面倒だ。

九月十日

体育の授業がなかった。体育の先生が今日は来なかったらしく、体育の時間は自習になった。私は窓から外を見ていた。グラウンドで一人の男子が一人でサッカーをしていた。蹴っては走り、また蹴っては走って。誰とも遊ばずに、ただひたすら蹴り続けていた。

後で聞いたら常迪という名前だった。

九月十五日

今日の昼休み、裏の空き地で一人のおばあさんに会った。路上で売り物を広げていた。おばあさんは路上の傍らに腰掛けて、通り過ぎる人を呼び止めようとしていたが、みんなが急いでいて誰も立ち止まらなかった。私は特に急いでいなかったので、足を止めた。

おばあさんの前には手作りの小物が並んでいた。石の置物や乾いた草を編んだ人形のようなもの。「見てみな、お嬢ちゃん、お前に縁のあるものがある」

私は腰をかがめて一つ一つ見た。どれも見覚えがない形だったが、端の一つが目を引いた。黒い石の上に白い点がいくつか彫ってある丸い石。

「それを手に取ってみな」おばあさんが言った。

私は石を手に取って眺めた。

「その石はな、持つ人の運命を教えてくれる。お前の手に乗ったということは、お前にその石が必要なんだ」

「いくらですか?」

「一文もいらない。ただし、約束があるよ。この石を持ったままの間は、真実から逃げてはいかん。目の前に真実が現れた時、それを直視せよ。逃げれば、石はお前を見捨てる」

奇妙な話だった。しかしおばあさんは石を押しつけた。お金を払おうとしたが受け取らなかった。石を懐にしまって学校へ戻ると、午後の授業が始まっていた。

九月二十日

今日、常迪に声をかけた。昨日の放課後に図書室で同じ本を取ろうとして、手が触れたのがきっかけで。二人とも、芥川龍之介の「藪の中」の翻訳本を取ろうとしていた。「読んだことある?」と聞いたら「三回」と答えた。「三回も読んで、真実が誰の言葉かわかった?」と聞いたら「わかることが目的じゃない、わからないことを知るのが目的だ」と答えた。

少し変な子かもしれないけど、悪くない。

十月一日

長い休みが終わった。休みの間、親が仕事で出かけたままで、ずっと一人だった。常迪が何度かメッセージをくれた。暇だったので返した。気づいたら毎日話すようになっていた。

好きかどうかはまだわからない。ただ、話しやすい。

十月十五日

今日の数学の授業で、先生が問題を解く時に一つのやり方を説明した。私は別のやり方で解いていた。先生のやり方より自分のやり方の方が手順が少なかった。しかし先生は私の解き方を見て「こんなやり方は教えていない、バツだ」と言った。答えは合っているのに。

この学校では答えが合っていても、先生の教えた通りにやらなければバツをもらう。

十月二十日

常迪と二人で放課後の空き地を歩いた。例のおばあさんがまた来ていた。常迪は足を止めて「何を売ってるの」と聞いた。おばあさんは常迪の顔を見てしばらく黙っていた。

「お前さんには売るものがない」と言った。

「どうして?」常迪が聞いた。

「お前さんはもう決めているから。この先に何が待っていても変えないつもりだから。何を渡しても意味がない」

常迪は不思議そうな顔をした。私はおばあさんに石を見せた。「これを去年もらったんです、あなたから」おばあさんは私の顔を見て、またしばらく黙った。

「真実から逃げていないか?」

「まだ逃げていません」

おばあさんは少し頷いた。

十一月一日

今日、馬大花先生の授業で、私が描きかけだった絵を見られた。授業中に絵を描いていたのがバレた。先生は絵を取り上げて皆の前で広げた。常迪の顔を練習していた絵だった。皆が笑った。馬大花先生は「授業中に男子の絵を描くとは、恥ずかしくないのか」と言った。

恥ずかしくない。でも、その場では何も言えなかった。

絵を見ていた先生の顔が変だった。怒っているのに、少し別の表情が混じっていた。うまく言えないけど、あの表情が気になっている。