罪の証拠・下
吴宪は白石山の山頂近くで、重要な証拠を発見した。
岩陰に隠された金属製の缶があった。中に書類が入っていた。古びた書類だったが、字は読めた。十五年以上前に書かれたものだった。
書類の内容は、陳代鹏が複数年にわたって行った性的暴行の記録だった。被害者の名前、日付、状況が、誰かによって記録されていた。記録者の名前は肖津だった。
肖津が書いて、古晴に渡した書類の元となるものがここにあった。
もう一つ、吴宪は重要な事実を確認した。
白石山で方初花が「陳代鹏に娘を燃やされた」と主張していた件。山頂に近い地点に焼け跡があった。半年前のものと見られた。焼け跡から見つかったのは、衣服の残骸と、人間の骨の断片だった。
DNA鑑定が行われた。
結果は衝撃的だった。
骨の持ち主のDNAは、陳代鹏のDNAと一致した。父子関係が証明された。
方初花が言っていた通りだった。陳代鹏は自分の血を引く少女を、山頂で焼いて証拠を消そうとしていた。
吴宪は取調室に戻り、陳代鹏の前に座った。
「白石山の山頂の焼け跡から、あなたの娘のものと思われる遺骨が出ました」
陳代鹏は動かなかった。
「方王という名前は知っていますか」
陳代鹏の手が動いた。
「方王は方初花との間に生まれた子供です。あなたの娘です。方初花がそう証言している。DNA鑑定でも一致している」
陳代鹏の顔が変わった。初めて。
「あなたは自分の娘を……」
「それは……」陳代鹏の声が裂けた。「それは違う……方王はもうずっと前に……あの子は……」
陳代鹏の目が定まらなくなった。机の上の自分の手を見た。見続けた。
「方王は死んでいません」吴宪は言った。「方王は生きています」
陳代鹏は椅子から崩れ落ちた。
「生きている……」陳代鹏は床に座り込んで繰り返した。「あの子が生きている……なぜ……どうして……」
それきり、陳代鹏は自分の名前を言わなくなった。弁護士が面会に来ても、妻が面会に来ても、口を開かなかった。目だけが動いていた。
精神鑑定が実施されることになった。